美しすぎた神韻芸術団の裏にある政治的メッセージとは?

こんにちは、たいと(@taito212)です。

先日、大学のパフォーマンスアートセンターに《神韻芸術団(SHEN YUN)》が来ていたので、観に行ってきました。

神韻芸術団(SHEN YUN)とは

神韻芸術団はニューヨークを拠点として活動する、世界一流の中国古典舞踊と音楽のパフォーマンス集団です。中国の古典舞踊、民族・民謡舞踊、ストーリー性のある舞踊、オーケストラの生演奏、独唱・独奏を演目に盛り込んでいて、中国で五千年にわたり栄えた神伝文化を伝える劇を繰り広げる団体です。

2006年に中国を離れた法輪功を信仰する北米在住の華人たちによって設立され、それからどんどん拡大して、今では同時世界ツアーをできるほどの規模の団体になっています。日本でも東京、大阪、京都、名古屋、広島、福岡などの大都市で公演を行っています。

圧巻のパフォーマンス

上演中の写真や動画は撮ることができなくて、実際のパフォーマンスはお見せできないんですが、ぜひ下の公式のプロモーション動画を観てみて下さい。

開園すると中国語と英語のバイリンガルのMCが会場を盛り上げ、幕が上がるとまるで雲海のようなスモークの中に綺麗に舞う色鮮やかな伝統衣装。一糸乱れず完璧に揃った踊りは、もう息を呑むような美しさでした。

オーケストラも通常のオペラなどと違って、中国特有の楽器がズラリと並んでいるので全然違う雰囲気を醸していました。

踊りの演目は、20くらいのショートストーリーに分かれていて、各ストーリーは中国の歴史や伝説上の物語を題材としています。最遊記や、水滸伝、三國志など教科書にも出てくるような有名な話から、中国大陸の少数民族にも焦点を当てたストーリーなど様々な角度から舞踊を披露します。

波のように美しく揃った女性のパートがあったと思えば、戦の様子をそのまま踊りにしたようなアクロバティックでかっこいい男性のパートがあり、その度に劇中の世界観に入り込んでしまいました。中国映画によくみるコミカルな演出も多くて、ダンスを通して会場に笑いが起こるシーンも何度もありました。

舞台の後方には、各ストーリーの背景がデジタルの大画面に映されていて、画面上と舞台をキャラクターが行き来する演出があったりと観てて飽きない工夫がたくさん。

2時間半のパフォーマンスで、中国の歴史や伝説の世界観に浸りました。

中国で失われつつある歴史と共産党の弾圧

中国の伝統的な物語や舞踊などを実際に本場で見てみたいと思ったのですが、実は残念ながらこれらの伝統舞踊や文化は中国では失われつつあるんです。神韻芸術団が抱える問題は、思ったよりややこしいものでした。

神韻は、中国人によって作られた芸術団体であるにも関わらず、中国では講演することができません。なぜなら、中国共産党は公式に神を否定する政権であり、中国古来の神話や伝説を表現する神韻芸術団を弾圧しているからです。

毛沢東の文化大革命以降、共産党が「階級闘争」以外の教義を脅威として撲滅してきたせいで、伝統であった仏教や道教が破壊されてしまったと言います。信仰を禁じているため(現在は認可制)宗教は破壊され、伝統文化は共産党文化にとって代わられました。

神韻も法輪功という宗教を母体とした団体なので、当然これまでも共産党によって、公演を妨害されてきたそうです。1999年には法輪功の信者数千人が不当に逮捕され、連行されました。その後、共産党員よりも法輪功の実践者が増えてしまうことを恐れた共産党は、中国全土で「法輪功は悪である」というプロパガンダ政策を実施し、神韻含む法輪功信者は今でも迫害を受けているそうです。

神韻の公式ホームページには、如何にして共産党が神韻芸術団を妨害してきたかという歴史が、資料と共にズラリと並べられています。美しい芸術団といった印象でしか見ていませんでしたが、ウェブサイトは宗教色が強く、政治的メッセージが多分に含まれています。

芸術とイデオロギーの対決

神韻の公演はとても素晴らしかったです。が、とても考えさせられる機会になりました。

芸術とイデオロギーの対決は美術史の中でもよく見られます。共産党によって逮捕されたこともある活動家で芸術家のアイウェイウェイ然り、ソビエト政権下でイデオロギー批判として生まれたソッツアート(ソ連のポップアート)など。

僕は、芸術がプロパガンダ的な攻撃手段として使われるのは個人的には苦手なところもあります。ただ、人々に問題の関心を向けるという目的の上では、重要な役割を果たしているとも思っています。

神韻のサイトの中にこんな一節があります。

神韻のアーティストは、 歌、舞踊、劇を通して、これらの勇気あるストーリーを世界の舞台で伝え続けます。

神韻芸術団が世界中でパフォーマンスを続ける裏には、中国の共産党政権によって滅ぼされてしまった文化を守るという目的があります。

神韻のサイトにあるように、実際に共産党は法輪功に対する弾圧を行っていて、「法輪功」という言葉は、「天安門事件」と同様に検索禁止ワードに設定されています。中国の日本大使館のサイトには、法輪功は「中国のオウム真理教」「人権を踏みにじり、社会に危害を加える違法なカルト教」という表現が記述されています。そんな中で神韻が世界で人気を集め続け、支持を得ていくのは芸術団体としてたくましいなと感じました。

神韻が抱えている問題、共産党との関係性など、作品以外の部分に目を向けてみると、また違った見え方がすると思います。素晴らしい舞踊であることは間違い無いので、ぜひ一度見てみてください。

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ABOUTこの記事をかいた人

たいと

ニューヨークに留学中の24歳。NY州立大学美術史専攻。2019年8月にコペンハーゲンでのアイアンマンレースを完走する為にトレーニング中。趣味は美術館巡り。