NYメトロポリタン美術館の本気。ヴェルサイユ展の世界観が素晴らしすぎた。

The following two tabs change content below.
たいと

たいと

ニューヨークの大学に留学中の23歳。 絵は描けないけど美大生。 『アートをもっと身近に』をテーマにアウトプット。海外生活や旅のことも書きます。 現在、ニューヨークでクリエイターの集まるシェアハウスを作るため尽力中。

こんにちは、NY留学中、絵が描けない美大生たいと(@taito212)です。

大学のフランスアートのクラスの課題でメトロポリタン美術館に行ってきました。今回は、企画展『ヴェルサイユ展』を廻りました。17世紀〜19世紀フランスのヴェルサイユ宮殿の美術品が中心の展示。

「フランス宮廷美術?どうせなんかキラキラしてるがあるだけでしょ?」

正直なところ、僕はこんな気持ちでした。企画展に行くまでは・・・

メトロポリタン美術館って?

メトロポリタン美術館

まずは、メトロポリタン美術館ってなんぞや。って人もいると思うので説明します。

メトロポリタン美術館

メトロポリタン美術館(通称The Met)は、ニューヨーク市マンハッタンの5番街にある世界最大級の美術館。セントラル・パークの東にある。1872年に開館してから、基金による作品の購入や、様々なコレクターからの寄贈によって収蔵品数は激増し、現在では絵画・彫刻・写真・工芸品ほか家具・楽器・装飾品など300万点の美術品を所蔵。全館を一日で巡るのは難しいほどの規模を誇る。– Wikipediaより引用

この美術館、本当にめちゃくちゃ広いです。ニューヨークに観光に来た際はたっぷり時間をとっておくか、観たいポイントを決めてくると良いと思います。

ヴェルサイユ展

ヴェルサイユ展

僕も今回の目的は企画展なんで、エントランスで学生料金$12でチケットを買ったら2階に直行。ベルサイユ展に向かいます。

世界の名画や偉大な彫刻を素通りするのはなんともヒドイ話ですが、今回はスルー。

ヴェルサイユ展の場所に着くと入り口で、無料のオーディオガイドをもらえます。通常のメトロポリタン美術館の常設展示のオーディオガイドは$7のレンタル制で日本語のものもあるんですが、この企画展では日本語はありませんでした。

ヘッドホンを着けて先へ。

ヴェルサイユ展のここがすごい①オーディオガイドのクオリティ!

普通、美術館のオーディオガイドって、展示の中で有名な数作品がオーディオで説明されるようになっていて、絵の前で解説を聞くっていう形なんですよね。

オーディオガイド
〇〇年、イタリアのアーティスト〇〇によって作られたこの作品はなんとかなんとかで・・・・

教科書を棒読みしてるみたいな解説でつまんないんですよ!これが美術館が退屈に感じちゃう諸悪の根源だとも思います。

でも、このヴェルサイユ展のオーディオガイドは一味もふた味も違ったんです。

オーディオガイドのボタンを押して、どんな音声が流れるんだろう。とワクワクしていると、突然隣でフランス訛りの英語で男の人に話しかけられた気がしました。

たいと
なんだよ。今からオーディオ聞こうと思ってたのに・・・

ヘッドホンを外して横をみたんですが、誰もいません。

たいと
あれ?勘違いかな。

もう一度、ヘッドホンを装着するとまた声がしました。

もしや・・・・・!?

そうなんです!フランス訛りの男の人の声はヘッドホンから音がしていたんですね。

いや、ボタン押したんだから当たり前だろ。バカか!って思うかも知れませんが、まじなんです!音質が良すぎて、耳元で囁かれた気がしたんです!

いわゆるノイズキャンセル仕様のヘッドホン。周りの音が完全に遮断されて、声が脳内に直接届くようなタイプなんですよ。とにかくクオリティが高い。

そして、男の人の声を聞いていると、どこか遠くからこんな音が聞こえてきます。

パカラッ。パカラッパカラッ。パカラッ。

馬車を引く蹄の音。そして音は次第に近づいてきて、右から左に音が流れます。次第に、人の話し声や物音が「ワァーーー」っと聞こえてきて、音声ガイドの男の人と女の人が会話を始めます。

展示の初めは、当時のフランスの衣装や風俗、パリの街から始まるんですが、雑談するかのように自然なトーンで説明が入ります。

当時のフランスの衣装の展示

たいと
音声ガイドのクオリティが高すぎるッ!!!

音声解説の常識を覆すような、オーディオガイドは音声作品と言っても過言ではありません。解声も上品で、まるで一瞬で17世紀のフランスにタイムスリップして、本当に貴族に観光案内してもらっているような気分になりました。

一気にその世界観に没入した僕は、そのまま貴族に連れられてヴェルサイユ宮殿に向かいます。

チョキン。チョキン。

庭師が草木を切る音。行き交う人々の笑い声や噴水の水の音が聞こえて、動物の鳴き声がします。やってきたのはベルサイユ宮殿の庭。宮殿の美しい庭の風景画が並びます。

ヴェルサイユ宮殿の庭

ヴェルサイユ宮殿の中に入ると、急にオーディオの男の人の音声が反響し、ホール中に響き渡りました。

少し進むと、貴族たちが集まって談笑するパーティ会場の様子の絵と解説が入り、さらに進むと足音と声だけが反響する静かな『鏡の間』へ。ただの解説にとどまらないオーディオガイドの「音」が作る世界観にすっかり夢中になってしまいます

ヴェルサイユ展のここがすごい②ストーリー性

ヴェルサイユ宮殿の中の様子

ヴェルサイユ展はいくつかのパートに分かれていて、順番に展示を見ることで物語になります。

実はこの展示の原題は、『Visitors to Versailles』(ヴェルサイユを訪ねる人)という意味で、外国人目線でヴェルサイユ宮殿を鑑賞する仕掛けになっています。

宮殿用の服を着る➡︎ヴェルサイユへ➡︎庭➡︎王に会う➡︎入っては行けない場所➡︎プライベートの場所➡︎お土産➡︎最後

簡単に言うとこんな流れになっているので、パートごとの展示を順に観ていくと本当にパリからヴェルサイユに行き、宮殿に言って、帰ってきたような気分になるんですね。

さらに一つ一つのパートの解説も通常とは違う形で、物語形式で説明をしてくれます。

たとえば、入っては行けない場所(OFF LIMIT)の展示パート。

ガイドのボタンを押すと、宮殿の入っては行けない場所の解説が流れます。しばらくすると、ヘッドホンから響き渡る女性の歌声が聞こえてきます。ガイドの男性が声のする方へ歩き、ガチャっと扉を開けると、そこは女王の部屋。驚いた男性は必死に謝ります。女王も最初はびっくりしますが、男性が間違えて部屋に入ってしまったことが分かると安心して、「オペラのために歌を練習している」と言う話をします。男は扉を閉めて退出。女王は再び歌の練習を再開します。

こんな風に、一つの物語をオーディオの中で再現することで、当時のヴェルサイユ宮殿のリアルな生活が垣間見えます。パートごとのストーリーに関連した場所の作品が多数展示されているので、より興味を持って一つ一つの作品を鑑賞することができます。

たいと
各パートのガイドの寸劇が楽しい!

感想

正直、現代アートの方が好きな僕にとっては、フランスの宮廷美術にどうしても興味が湧きませんでした。授業で行けと言われたから来てみた『ヴェルサイユ展』でしたが、予想以上に楽しかったです。

宮廷の暮らしぶりや貴族の様子が分かる絵画や、外交の中で宮殿に送られた美術品など、当時のヴェルサイユを覗けたような気分になりました。実際に、ヴェルサイユ宮殿を観に行ったらもっと感動するんだろうなぁと改めて感じました。

展示の最後にオーディオの男性が、ロシアの小説家ニコライ・カラムジンのセリフを引用して言っていました。

『I have never seen anything more magnificent than the palace of Versailles.(私は、今までにヴェルサイユ宮殿を超える素晴らしいものを観たことがない。)』

たいと
こんなの聞いたらめちゃめちゃ行きたくなるw

フランスはまだ行ったことがないので、超絶行きたい欲がピークに達してしまいました。アートを勉強してから行くとまた深く楽しめそうな気がするんで、好き嫌いせず美術の勉強もしていこうって思いました。

海外のヴェルサイユ展の評価

ここで海外の雑誌や新聞社もヴェルサイユ展を観てみます。

『デザインが洗練されていて、非常に精巧。短い場面描写をドラマ化したオーディオツアーは素晴らしい!』ウォール・ストリートジャーナル(新聞)

『ヴェルサイユ宮殿が外国人にどのように映るかが魅力的に展示されていて、日帰りで旅をしたような気分。』アートネット(オンラインアートギャラリー)

『独創的なオーディオによって、その世界に没入して歴史や逸話を学ぶことができる』フランス・アメリカ(メディア)

『最も活気や華やかさ、輝きがあった時代のフランス文化を思い起こさせる絶好の機会』エポックタイムズ(メディア)

たいと
大絶賛ですね。それも2社がやっぱりオーディオガイドについて言及してる!

最後に

美術館はもっと多くの人に楽しんでもらうためにいろんな仕掛けをしています。

ただ観るだけでなく、「体験」する感覚を与えられる美術館はやっぱり魅力的ですね。皆さんも美術館に行った時は、展示の順番や、人の導線など、美術館の工夫にも着目してみるとまた変わった楽しみ方ができるかも知れませんね。

おしまい。

この記事を読んだ人におすすめ⬇︎

好きなものを好きって言うこと。〜アートフェア参加レポート〜

美大の闇。アート界の闇。絵画が盗難されるということ。

【インタビュー】「モネのように生きたい」ニューヨークに住む19歳の美大生のこれまでとこれから。

これを読むだけでアートの流れが分かる!西洋美術史完全おさらい。〜アートは革命の歴史だ〜

あなたはだあれ?って方はこちら⬇︎

ABOUTこの記事をかいた人

たいと

ニューヨークの大学に留学中の23歳。 絵は描けないけど美大生。 『アートをもっと身近に』をテーマにアウトプット。海外生活や旅のことも書きます。 現在、ニューヨークでクリエイターの集まるシェアハウスを作るため尽力中。