ペプシコ本社の彫刻庭園に潜入。企業に取り入れるアートとは。

こんにちは、たいと(@taito212)です。

今回は、ニューヨークのパーチェスにあるペプシコの本社に行ってきました。ペプシコと言えば、ペプシコーラやドリトスなどの有名商品を持つ多国籍ブランドで、世界第2位の食品・飲料品会社。

ペプシコ本社の敷地内には、「PepsiCO彫刻庭園(ドナルド・M・ケンドール彫刻庭園 )」があって無料で野外アートが楽しめる場所になっています。

ペプシコにある彫刻を紹介しながら、「企業とアートの関係」について書いてみようと思います。

ペプシコ彫刻ガーデン

ペプシコの彫刻庭園には、45点もの彫刻が屋外に展示されていて、入り口で敷地の彫刻の案内パンフレットを受け取ると、誰でも無料で散策できます。

元会長のドナルド・M・ケンドールが『アートは社員の想像力を育む』という理念から作ったもので、オーギュスト・ロダン、ヘンリー・ムーア、アレキサンダー・カルダー、アルベルト・ジャコメッティなどの有名な現代彫刻家の作品が展示され、今ではこの地域の観光名所でもあるんです。

広大な敷地内には、遊歩道が敷かれていて、歩きながら自由に彫刻を見ることができます

敷地に入ると、左手にイギリスの女性彫刻家、バーバラ・ヘップワースの作品。The Family of Man/バーバラ・ヘップワース

キネティックアートという風や水など、自然の力で動くアートを使った動く彫刻(モビール)の第一人者、ジョージリッキーの作品。

エントランスから見える前庭には、人体から直接石膏で型を取った作品で有名なシーガルの彫刻。

オフィスのすぐ横に佇むシュルレアリスムの彫刻。ピカソやヘミングウェイとも交流のあったジョアン・ミロの作品。
Personnage/ジョアン・ミロ

世界の企業とアートの関係

「どうやってビジネスとアートが直結するの?」って思う人もいるかも知れませんが、世界では「アートはビジネス」と考える見方が半ば常識になっています。

日本では考えられないですが、海外では投資家の資産構成に美術品を取り込むことが珍しくありません。証券会社のアナリストは株や為替と同列に美術品についてのレポートを発表しています。

アメリカのJPモルガンや、ドイツのBMWなどのハイブランド企業は、世界規模のアートフェアに協賛して、ブランド価値の向上や富裕層の囲い込みに活用しています。フランクフルトに本店を置くドイツ銀行は、総数6万点の現代美術を揃え、フロアごとに違う作家の作品を展示しています。

コーポレートアート

私企業が主導する芸術活動の総称で、その範囲は展覧会などの事業予算やアーティストへの助成金の出資を骨子とするメセナ活動と重なる部分が大きい。一般に欧米では、芸術活動への参画はコーポレート・アイデンティティ(企業理念)を対外的にアピールする重要な要素であるとみなされている。

日本企業のアート活動

日本でも、企業のアート活動は行われています。その多くは、アート支援やコレクションに熱心です。

例えば、明治時代まで遡ると資生堂は現存する日本最古のギャラリーを1919年に東京の銀座にオープン。1960年代にはサントリー美術館やセゾン現代美術館など、企業が文化戦略として芸術文化支援活動「メセナ」を始めました

美術好きの外国人の中には、サントリー美術館に足を運んでアートを鑑賞した後に、「サントリーはお酒も売ってるの?」と驚く人もいるほど。アートによって企業の知名度も上がっています

サントリー美術館

ベネッセホールディングスが展開する「ベネッセアートサイト直島」は『現代アートの聖地』と呼ばれ、美術館だけでなく、島内の海岸、民家、路地などにも現代美術の作品が配置されています。

アートの支援だけでなく、地域の活性化にも一役買っています。

直島の海岸。草間彌生の作品。

この他にも、化粧品会社のメナードやブリジストンなど、実はアートに力を入れている日本企業はたくさんあるんです。

ペプシコの彫刻のみどころ

それでは、最後にペプシコの彫刻の一部を紹介します。彫刻は見方が難しいですが、有名どころをピックアップしてみたいと思います。

エナジー・ヴォイド/イサム・ノグチ

エナジー・ヴォイド/イサム・ノグチ

日系アメリカ人のイサム・ノグチが、晩年に作った作品。「エナジー・ヴォイド」というタイトルが意味するのは、「力」と「虚無」。

「何もないところにこそ、力の源がある」イサムが辿りついた世界感。生と死の狭間、無と有の世界、暗黒と光、生命と宇宙など、森羅万象の世界を表現しています。

Double Oval/ヘンリー・ムーア

Double Oval/ヘンリー・ムーア

20世紀のイギリスを代表する彫刻家です。彼の作品は、穴の空いたブロンズの抽象彫刻が多く、ほとんどが抽象化された母と子の像だと言われています。

この作品のタイトルは、ダブル・オーバル。直訳すると「二つの楕円」です。「じゃあこの作品は何を表してるの?」って聞きたくなる気持ちはわかりますが、ヘンリーは彫刻についてこのように述べています。

「芸術というものは種のミステリーと観客を引きつける要素をもっているべきである。はじめから謎を明かすような、あまりに直接的なタイトルを付けると観客がその意味を深く考える間もなく次の作品に目を移してしまうであろう。見ていることには違いないが実際は見てはいないのと同じである。」

つまり、ヘンリーは敢えて謎に包んだタイトルをつけて、鑑賞者に考えさせるようにしたんですね。んー。深い。けど、何だろなこれw

山羊座/マックス・エルンスト

山羊座/マックス・エルンスト

シュルレアリスムの代表的なアーティスト、マックス・エルンストの彫刻。エルンストは、彫刻だけでなく、絵画の作品もたくさん残しています。

幼い時から見ていた幻覚を元にした作品多く作られ、特に鳥をモチーフにした絵画は有名です。この作品は、擬人化したヤギの彫刻ですが、現実離れした不思議な雰囲気を漂わせます。

まとめ

実は、ペプシコの本社は、僕の大学の目の前にあるんですが、今まで行ったことがありませんでした。サントリーの話で、アートがそれを支援する企業のことを知る入り口になると書きましたが、まさに僕がそうでした。

社内に自由に鑑賞できるアートスペースがあると知ってペプシコに初めて行ってみたんですが、広大な彫刻庭園を歩きながら物思いに耽っていました。

社内にアートがある環境。自由なアイデアが生まれそうで素敵だなと思いました。

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